株の説明を読んでいて「PER」「損切り」「インカムゲイン」で止まってしまうなら、最初から全部を暗記する必要はありません。自分が見る画面や資料と結びつけて理解することが大切です。
この記事では、株式投資の基本用語10個を、意味・具体例・間違えやすい点の順で解説します。用語を知ることと、利益が出る商品を選べることは別ですが、説明を読み違えるリスクを減らす助けになります。
銘柄/リスク/投資信託/配当/インカムゲイン/キャピタルゲイン/損切り/PER/信用取引/IPO。仕組み、収益、判断指標、取引方法の順に確認します。
株式投資の基本用語10選:まず意味を一覧で確認
| 用語 | 確認する内容 |
|---|---|
| 銘柄 | 何に投資するか |
| リスク | 結果の不確実性や値動き |
| 投資信託 | 集めた資金を運用する仕組み |
| 配当 | 会社から株主への分配 |
| インカムゲイン | 配当・利息などの収益 |
| キャピタルゲイン | 売却等による値上がり益 |
| 損切り | 損失を受け入れて手放すこと |
| PER | 株価と1株当たり利益の関係 |
| 信用取引 | 資金や株式を借りる取引 |
| IPO | 未上場企業の新規株式公開 |
どの用語も「知っていれば買ってよい」という合図ではありません。商品の仕組みを読み、自分の資金や目的に合うかを確認するために使います。基礎的な商品の違いは金融庁「資産形成の基本」も参考になります。
1.銘柄:投資対象を区別する名前
銘柄は、株式や債券などの投資対象を区別するために使われる言葉です。日本株なら企業名だけでなく、銘柄コードと上場市場も確認します。似た名前の会社や、同じグループの別会社を取り違えないためです。
例えば、商品が有名だからといって、その商品名と上場会社名が同じとは限りません。持株会社の傘下に事業会社があることもあります。証券会社の画面で発注する前に、会社の正式名称とコードを照合しましょう。
投資信託でも名前が似ていて、投資対象や為替ヘッジの有無が異なる商品があります。ランキングの短い表示だけで決めず、商品名全体と目論見書などを確認してください。
2.リスク:損をする危険だけでなく、結果の不確実性
投資のリスクは、価格や収益がどうなるかが確実ではないこと、値動きの幅などを指して使われます。「高リスク」は大きな損失だけでなく、結果の振れが大きいことにも関係します。ただし、商品ごとに信用リスク、流動性リスク、為替リスクなどもあります。
例えば100万円の資産が20%下がれば80万円で、減少額は20万円です。この下落率を将来の上限と考えてはいけません。さらに下がることや、希望する価格で売れないことも考えます。
「高いリスクを取るほど必ず高い利益が得られる」という意味ではありません。期待した収益が得られない可能性や、資金を失う可能性まで含めて判断します。
まず家計への影響を確認したい場合は、貯金と投資の使い分けで、近く使うお金と運用資金を分けてみましょう。
3.投資信託:集めたお金をまとめて運用する仕組み
投資信託は、投資家から集めた資金を、定めた方針に従って株式や債券などに投資する金融商品です。一つの商品を通じて複数の投資先を持てる場合がありますが、すべての投資信託が広く分散しているわけではありません。
特定の国、業種、テーマに偏る商品もあります。「投資信託だから低リスク」と決めず、どこに何を通じて投資するか、費用がいくらかを確認します。複数の商品を買っても、中身が似ていれば同じ要因で値動きする場合があります。
価格を示す基準価額は、一般に一定口数当たりで表示されます。株価と同じ感覚で「基準価額が安いほうが割安」と比較しないようにしましょう。分配方針や運用期間の違いでも表示額は変わります。
4.配当:会社から株主に支払われる分配
株式の配当は、会社が株主に金銭などを分配することです。業績や会社の方針などによって決まり、毎年同じ額が保証されるわけではありません。配当を減らす減配、配当を出さない無配もあります。
1株当たり年間配当40円で100株を持つ仮定なら、税引前の年間配当は4,000円です。株価が1,000円なら税引前利回りは4%。ただし、配当を受け取る株主の資格や基準日などの条件も確認します。
受取額には税金が関係します。配当の詳しい仕組みと注意点は高配当株投資の基本で説明しています。過去の配当実績と、将来の予想配当も区別してください。
配当額は受け取る金額のもとになる数字。配当利回りは、年間配当を株価で割った割合です。株価が下がると予想利回りが高く見える場合があり、高利回りだけで有利とはいえません。
5.インカムゲイン:配当や利息などの収益
インカムゲインは、資産を保有することで得る配当や利息などの収益を指します。株式の配当と債券の利息では、支払いの仕組みやリスクが違います。「毎月受け取れる」という頻度だけで、同じ安全性と考えてはいけません。
また、配当を受け取ったとしても、株価が大きく下がれば、資産全体では損失となる場合があります。1,000円で買った株に40円の配当があり、株価が800円になれば、配当と値下がりの合計は税引前・費用前で1株当たりマイナス160円です。
現金収入があることと、投資がプラスになったことを区別するため、売買や値動きと合わせた損益も確認しましょう。
6.キャピタルゲイン:値上がりによる利益
株式を買った価格より高く売った場合などに生じる利益です。1株1,000円で100株買い、1,200円で売れば、差額は2万円です。実際の手取りは税金や手数料などを考慮します。売却額12万円の全額が利益ではありません。
保有中に値上がりしている状態は、含み益または評価益と呼ばれます。売却するまで金額が変わる可能性があり、その時点の評価益を将来確実に使える現金として扱わないことが大切です。
値下がりの場合はキャピタルロスが生じます。短期間で価格が上がった理由が分からないまま、他人の売却益だけを見て購入する判断は避けましょう。
7.損切り:損失を受け入れて売却すること
損切りとは、損失がある状態で売却し、保有を終了することです。下落率や、企業への見込みが外れたことなどを判断材料にする場合があります。売却後の下落による損失を避ける一方、売却後に株価が上がる可能性もあります。
「何%下がれば正解」というルールを全員に共通して当てはめることはできません。個別株の事業判断と、長期分散の積立方針では考え方が異なります。また、注文を出しても希望価格で必ず売れるわけではありません。
保有中に迷いにくくするには、購入時に予算、保有理由、見直し条件を記録します。書き方は投資ルールの作り方で確認できます。
8.PER:株価が1株当たり利益の何倍か
PERは株価収益率です。株価÷EPS(1株当たり利益)で計算します。株価1,000円、EPS50円ならPERは20倍です。利益と比べて株価がどのように評価されているかを見るための指標です。
定義はJPX「株価収益率」を参照してください。実績の利益か予想利益かによって値が変わり、赤字の場合や、一時的な利益が大きい場合には読み方に注意が必要です。
PERを比較するときは、計算に使う利益の時点、同業他社の状況、自社の過去の水準、今後の成長と不確実性を一緒に確認します。数字が低い理由を説明するところまで調べましょう。
PER10倍だから10年で配当として元本を回収できる、という意味ではありません。利益のすべてが配当になるわけではなく、利益や株価も変動します。
9.信用取引:証券会社から資金や株式を借りる取引
信用取引には、資金を借りて買う取引だけでなく、株式を借りて売る取引もあります。保証金を預けて行い、金利や貸株料などの費用、期限、追加保証金などの条件を理解する必要があります。
損失や担保の状況によって追加の資金が必要となり、預けた保証金を超える損失が生じることもあります。現物株の購入と同じつもりで取引額だけを増やさないようにしましょう。
基本の仕組みはJPX「信用取引の目的・仕組み」で確認できます。実際の条件は証券会社や銘柄等によっても異なります。
初心者の用語学習で信用取引を知っても、利用する必要はありません。必要な資金管理と条件を説明できない段階では、レバレッジを使った取引を急がないことが大切です。
10.IPO:企業が新たに株式を公開すること
IPOは新規株式公開のことで、未上場の企業が新たに市場へ株式を公開・上場する場面などで使われます。公開価格で買うための申込みと、上場後に市場価格で買うことは、手順も価格も異なります。
抽選に当たれば必ず利益になるわけではなく、初値が公開価格を下回る場合もあります。上場後に購入する場合も、短期間の値動きや売買の成立条件に注意が必要です。
会社の事業、業績、調達資金の使い道、既存株主などを資料で確認し、「新規上場」というだけで成長や割安さを判断しないようにしましょう。
用語を覚えた後に確認したいこと
口座を開設する前後には、現物か信用か、課税口座かNISAか、手数料と税金の扱い、買付けから受渡しまでの手順を確認します。国内株の手数料が無料になる場合もありますが、取引や条件によって異なり、すべての費用がゼロになるとは限りません。
NISAは商品名ではなく非課税制度です。投資信託や個別株という商品と同列に「どちらを買うか」と比べないようにします。何を買うかを考える際はNISAで投資信託・個別株を選ぶ考え方へ進んでください。
練習例:株価1,000円、EPS50円、年間配当40円、100株。購入額10万円、PER20倍、税引前配当4,000円、税引前配当利回り4%です。これらは同じ銘柄を別の角度から見る数字で、値上がりの保証ではありません。
まとめ:用語を数字と行動につなげる
用語を学ぶときは、意味だけでなく、計算できるものは仮の数字で確認し、注意点まで一緒に覚えましょう。商品を選ぶときも、分からない説明をそのままにせず、公式資料や取引条件へ戻ることが大切です。
情報確認日:2026年10月29日。数値は仮の例で、税金・費用を除くと記載した計算は実際の手取りと異なります。投資には元本割れの可能性があります。





















